将来を読む

コロナ禍の中で1番大事なことは

新型コロナウイルスが日本全土で猛威を奮い出して、はや6ヶ月が過ぎようとしています。

緊急事態宣言による自粛で一旦は収束に向かったかの様に見えたコロナですが、どうやら第二波の波音がすぐそこまで聞こえてきている様です。

TVやインターネットでは連日連夜様々な意見が交わされる中、単純な感染症流行では語り切れない様々な問題が露わになってきました。

その一つがネット上での感染者に対する批判。

コロナが流行する前から様々な誹謗中傷がネット上にはありましたが、今回の一連の批判はもはや見るに耐えません。

特に感染した医師や看護師への批判は同じ医療職として憤りを感じます。

なぜ、感染者をみんなで叩いてしまうのか。

今夜はそんな謎を考察していきます。

 コロナより根深い「いじめ」

今回の記事を書くきっかけとなったのがこのツイート。

元ネタは7月に神奈川県の病院看護師が舞台を見に行ってコロナに感染したというもの

 これに対してネット上では様々な意見が交わされています。

中にはこのアカウントの方の様にきちんと本質を理解した意見を述べている方もいらっしゃいます。

 しかしながらその多くが、「プロ意識がない」とか「医療者としての自覚がない」とかの批判めいたもの。

看護師側にも至らぬ点はあったのかもしれません。

しかし、問題なのは何の責任もない、何の関係もない人たちが自分勝手な正義を掲げて大勢で叩くという事です。

彼らは自分たちが正しいと信じて疑わないのです。

なぜなら周りもみんな同じ事を言っているから。

物事には必ず良い面と悪い面の2つの側面を持ちます。事柄によっては実に多様な様相を呈する事もある。

それにも関わらず、ある一部分だけを切り取ってそれが全てであるかの様に捉えてしまう。

なぜか、 何も考えていないからです。

自分の発言が本当に正しいのか、それによって受け手がどの様に感じるか、そんな事を全く考えていないのです。

だって面倒くさいから 。

周りがみんな同じ事を言ってるし、なんとなく合ってるっぽいし、きっと正しい。 そう信じて疑わない。

そうして善人ぶって普段人には言わない様な言葉をネット上で平気で投げかけてしまうのです。

 批判は簡単

ネット上ではしばしば、炎上と呼ばれる誹謗中傷の嵐が巻き起こります。

炎上が起こるためには言うまでもなく、誹謗中傷を行う人がたくさんいる必要があります。

なぜ、こんなにも沢山の人が炎上に参加してしまうのでしょうか。

1つは匿名だからです。

匿名ということはつまり、自分の発言に責任を持たなくて良いと言うこと。

顔も住所も分からない。だからどんなにひどい事を言ってもリアルの自分の評判は下がらないし、こちらが攻撃される事もなく無傷で済むからです。

もう一つは簡単だからです。

匿名だから言いやすいと言う事もありますが、そもそも何かを批判するのはとても簡単なのです。

1から物を作り出すのはすごく労力がいります。

このブログを書くのも割と大変です。 YouTuberが動画を作る時にはかなりの時間を費やします。

ところが出来上がった創作物や人の欠点を探すのは物凄く簡単です。

皆さんもすぐ誰かの愚痴を言ったり、TVを観てあの俳優の演技が上手いとか下手とかいうでしょう。

ネット上の様に匿名で責任がない場所では尚更です。

そこに勘違いした正義がくっ付いてくるとそりゃ止まりません。

ましてや、既に大勢の人が寄ってたかって批判している対象なら歯止めは効かなくなります。

大衆に紛れていれば分からないし、好きなことを好きなだけ言える。

そうやってみんなで寄ってたかってネット上弱い者いじめをする。

そんな光景は、小学生のレベルの低いいじめそのものです。

小学生の頃、いじめられている子の名前を文字って〇〇菌とか言って除け者にするいじめがありました。

「〇〇菌が移った」なんて言って他の人にタッチして流行らせていくみたいな下らない奴です。

ところが今、全く同じ事を良い年した大人が大真面目な顔をしてやっているのです。

どこかおかしいと思いませんか。

冷静であれ

では、このコロナ禍を我々はどう生き抜いて行けば良いのでしょうか。

「とはいってもやっぱり感染したくはないし。」

その気持ちは分かります。

「感染しないためには感染者から離れるのが1番では。」

そう思う事も当然です。

しかし、短期的には隔離という対策は効果的ではあるものの、長期的にはもっと別の事が大切になります。

それが情報です。

ウイルスが闇雲な変異に頼っているのに対し、我々人類は常に情報の科学的分析を拠り所としています。

そのおかげで我々人類はわずか2週間ほどでこの新種の病が新型コロナウイルスであると断定し感染者を特定する術を獲得しました。

我々人類がウイルスと闘うに当たって何より重要なのが科学的根拠のある確かな情報なのです。

それを元に対策を立て、お互いに協力する事がこのコロナ禍を終わらせる最短距離なのです。

ところがこれを邪魔する最大の敵があります。

それが人間の感情なのです。

怖い、感染したらどうしようという恐怖

いつまでこんな事が続くんだという苛立ち

このままでは店が潰れてしまうという焦り

様々な感情が人間の冷静な分析を妨げてしまうのです。

その結果、ただ感情のままに動き、本来は協力しなければならない人たち同士で攻撃し合っているのです。

人間の脳はその特性上、感情と理性はお互いに抑制しあっています。

そのため感情的な人ほど冷静に物事を考える事ができなくなるのです。

それが最も重要であるにも関わらず。

 我々には協力しかない

今回のコロナの問題は確かに深刻です。

世界で感染者数は1590万人を超え、死者は64万人に上ります。(2020年7月26日時点)

しかしそれと同じくらい深刻なのが集団における人間の感情です。

隔離という対策は確かに必要です。

しかし、それ以上に排除する必要性は科学的に全くないのです。

ここから出て行けと家に張り紙を貼ったり ネットで誹謗中傷をしたり、医療者のプライベートを晒す必要性はどこにもないのです。

自分だけが良ければ良い。

そんな感情的な人間しかいなくなったら我々に未来はありません。

大事な事は決して感情的になって自己中心的な正義を振りかざすのではなく、 冷静な分析の元での協力なのです。

なぜなら人類の発展は常に、大多数の協力によって行われてきたからです。

まとめ

大多数の協力による力。

その力を人を不幸に追いやるために使うのか、それとも幸せにするために使うのか。

それはあなた次第です。

今夜の名言

本当の悪魔とは、巨大に膨れ上がった時の民意だよ。 「リーガルハイ 」 ―古美門研介

参考文献

『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリ氏、 “新型コロナウィルス”についてTIME誌に緊急寄稿! Web 河出 (原題:In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership)