ここ数日、オリエンタルラジオ中田敦彦さんのYouTube大学が話題になっています。
「中田敦彦のYouTube大学」といえば政治や経済、文学、テクノロジーなど様々なジャンルを分かりやすく解説する人気YouTubeチャンネルの1つです。
2019年にチャンネル登録者数が急激に伸び、あっという間に登録者数100万人を超えたのは記憶に新しいでしょう。
わたしの大好きな「はなおチャンネル」にあっという間に追いついたその様に驚いたのを覚えています。
とても分かりやすく、また楽しく様々な分野を学べるため私も休みの度にわくわくしながら観ています。
さて、この「中田敦彦のYouTube大学」。 ここ数日、Twitterを見ると何やら騒がしい。 どうやら動画の解説で間違いが多いことが指摘されているようです。
Yahooニュースを見ると「『責任を持った発信が大事』と話す中田敦彦がYouTubeでフェイクを流す問題点」なんて記事が挙がっているではありませんか。
さて今夜はそんな記事を元に一次情報に当たる大切さを語ります。
偏りが出る
今回の件では、確かに間違いを発信している点が真実なら、そこは修正すべきところなのでしょう。
しかしながら人が発信する時は、元となる情報に必ずその人の考え方が上乗せされます。
解説が分かりやすいということはその分だけ中田さんの考えやまとめが介入されています。
分かりやすい様に元となる情報の一部だけを強調したり、面白い様に言い方を変えてみたり。
このように発信する際には必ず偏りがでてきます。
鵜呑みにしてはいけない
発信には必ず偏りが出るという事を中田さんは十分に理解されています。
以前、取材の中で「あくまでも学びのきっかけになれば良い。こんな意見がある、ここが違うなどはコメント欄で話し合ってもらえれば良い。」とおっしゃっていました。
まさにこの言葉に今回の問題の本質が隠されているのではないかと思います。
今回、なぜこんなに炎上してしまったのか。
それは中田さんの発信を鵜呑みにしていた人が大量にいたからだと思います。
表面上は間違いを発信したからダメだった。
しかしその裏では、
分かりやすい授業で勉強になった。
これで自分も知識がついた。
そうして“知った気になっていた人”がある日突然、その知識が間違いだと言われた。
中田敦彦ふざけんなー! とこうなるのです。
論文と講義
しかし、きちんと知識を得る方法を知っている人はそうは思いません。 なぜなら情報を得る時は必ず一次情報へ当たる必要性をよく理解しているからです。
学問の世界では、自分の意見を言うときには必ず元となった参考文献を記載しなくてはなりません。しかも1つではなく多数を。
私は医療職なので基本的に医療系の論文しか読まないのですが、必ず元となった文献が何本も記載されています。多い時は50本程度の論文の記載があることも。
そしてそこでは勉強会や講演会の内容を使う事は絶対に許されません。
たとえ、めちゃくちゃ偉い先生でも勉強会で言っていた事は根拠にはならず、逆にどんな無名の先生でも論文になっていたらそれを引用する事ができます。
つまり、中田さんが動画の中で言っている事をちゃんと自分のものにしたければ、必ず元となる資料を読まないといけないのです。
そして中田さんはちゃんと参考文献を明記してくれています。
一次情報へあたること
今回の件で我々が再認識しなければならない事は「間違いを発信してはいけない」ではなく「きちんと自分で調べないといけない」です。
「読みたいことを、書けばいい。」という本の中で著者である田中氏はこう語っています。
「ネットの情報は、また聞きのまた聞きが文字になっていると思って間違いない」と。
まさにその通りで、誰かから聞いた話ほど情報は薄くなっていきます。
「中田敦彦のYouTube大学」は素晴らしいコンテンツだと思います。
ただそれを鵜呑みにするのではなく、きちんと自分でもう一度参考文献を読み、さらにはその周辺情報まで調べて理解を深める。
こういった使い方ができれば良いのではないでしょうか。
まとめ
ネットの情報は有益かもしれません。 しかしそこには必ず発信者の偏りが存在します。
もう一度自分で一次情報へ当たってみる。
それこそがこの情報社会の中で楽しく生きる術になるはずです。
今夜の名言
”本を読むとき、勉強するとき、人の話を聞くとき。すべての局面で、「自分の頭で考えていること」が求められます。
逆に「なるほど!」と何も考えずに見て聞いていては、何も得られないのです。”
ー漫画家 三田紀房
参考文献
「読みたい事を書けば良い」 田中泰延